ついに地球一周4万km完歩
山内 勲(75)

糖尿病の私は、定年後の「健康」のことを考え、平成8年3月“札幌歩こう会”に入会しました。入会2年目、理事に推挙され月例会の企画や運営、会員約600名様の認定記録のデ−タ管理、各人距離ごとの認定作業などを担当、忙しくも皆さんに感謝され貴重な体験をした8年間でした。
歩こう会本部の機関紙で「地球一周4万Km完歩」の表彰制度を知り、軽く考え20年後の達成をめざし、挑戦することにしました。それからは毎月の月例歩こう会や北海道内5会場( 北見、網走、旭川、函館、洞爺湖 )を連日渡り歩く、北海道マ−チングに積極参加してウォ−キングを楽し
会員から祝福を受ける山内様ご夫妻
んでいます。月例会は、札幌周辺の公園,名蹟、緑道、河川敷などをコ−スに設定し年間20回程開催、 また札歩会事務所を基地とするイヤ−ランドウォ−ク(公認6コ−ス・個人ウォ−ク)も通年実施されています。最近は、札幌駅の地下歩行空間と地上を織り交ぜた地下街コ−スが悪天候の日でもOKと人気になっています。 背中に「20q完歩を目指すぞ」と書いたゼッケンをつけて「北の都札幌ツ−デ−マ−チ」に初参加した平成9年6月、全国から参加された約900名のウォ−カ−達が2日間を全く同じペ−スで苦も無くスイスイと歩いている姿を見て、驚きと尊敬の念を抱きました。 多くの人たちと、楽しく話をしながら20kmを見事に完歩でき、ウォ−キングにのめり込んで行きました。
心地よい汗と適度の疲れで気分は最高になります。 歩き初めの頃は、足のマメと筋肉痛で辛かったのですが、歩き続けているうちに慣れ、気持ちに余裕ができ、景色や草花に感動できるようになりました。  
平成12年9月にNPO法人の認証を受け、歩くことを通じて疾病予防と健康管理促進 及び環境美化を図るため、他の公共団体との連携した行事を毎年開催しています。 約300名の参加者が一斉に不法投棄のゴミ、ペットポトル、空き缶などを60袋回収した豊平川清掃ウォ−クは圧巻でした。 NPO法人・札幌歩こう会が共催・協力している行事の一例として、北海道を歩こう(札幌健康スポ−ツ財団・朝日新聞主催)、アルコロジ−ウォ−ク(環境省・地球温暖化国民運動主催)、定山渓かっぱウォ−ク(定山渓観光協会主催)、千歳サ−モンウォ−ク(札幌広域圏組合主催)明日萌・ほたるの里ウォ−キング(沼田町教育委員会主催)・・・など年間約25回程度開催されています。  
今までの思い出に残るウォ−キングとしては、平成9年9月の「北海道を歩こう」の会、札幌真駒内から支笏湖まで、アップダウンの激しい峠越え、22km地点の恵庭峠から支笏湖までの下り道は、死ぬほどの辛さでした。全行程33kmを雨の降る中、ズブ濡れで完歩できたこと。ゴ−ル後、揚げいもとビ−ルで乾杯、自己満足感に酔いました。  NPO法人・札幌歩こう会は、今年創立20周年を迎え7月に盛大な式典と記念スリ−デ−ウォ−クを実施しました。  
定年後、私は、札幌歩こう会に参加しながら第二の仕事をしていました。札幌市で介護施設(老健、特養、通所リハビリS、グル−プホ−ムなど)を経営する事業所に平成10年5月に勤務、介護認定を受けた在宅高齢者に福祉用具のレンタルや住宅改修及び福祉用具の販売営業でした。平成13年に住宅改修が利用者一割負担の介護保険制度に改正され、爆発的な工事依頼で休日出勤が多くなり、疲労気味でまったく歩く気分になれず、一度目の挫折感を味わいました。 また、この時点での歩行距離累計は、まだ22,000Kmで地球一周まで遂行率55パーセントと程遠く、目標を達成できないのではないかと二度目の危機感に襲われました。 仕事の中で、レンタルの特殊寝台・車椅子・床ずれ防止用具などの納品設置後、利用者ご本人やご家族から感謝され、体の回復を目指し頑張る患者さまを見るたび、忙しい私の中にも頑張らなければとの思いが沸いてきました。 介護施設からは、売上が安定し私の給料も安く、ケアマネジャーや利用者の皆さんから重宝がられ、なかなか辞めることもできず、自分で後任者を探し円満退社の目途がつき、ルンルン気分で歩いていた平成19年3月、不注意から転倒して右膝皿を割り、救急車で入院し即手術へ、病院のベットの上で退職日を迎えることになりました。 3ケ月間の入院リハビリ生活でしたが、山岡壮八の徳川家康(全26巻)を読むなど読書三昧でもありました。そんな中、病院内で70歳代の患者お二人が急逝され、命に限りがあることを知らされ、以前にも増し退院後に ”地球一周4万km完歩しょう” しかも計画を前倒し平成24年中の達成策をも考えるようになりました。  退院後は、1回の歩く距離を短く、朝8km、夜4kmと1日に2回に分けてウォ−キングを再開しました。 幸い私は、バ−ドウオッチングの趣味を持ち、同時に小動物や草花の観察が大好きです。弁当を背負い、花図鑑と双眼鏡を持ち花や野鳥を観察しながら歩くことにしました。 自宅から遠い公園などには、マイカ−で行きウォ−キングを始めます。 野鳥観察を楽しみ森林浴ができる野幌森林公園、西岡水源地、白旗山などを定番コ−スと定め歩いています。めったに見られない全身真っ赤な野鳥”アカショウビン”や天然記念物の”クマゲラ”などを観たときは震え興奮したものでした。  最近、歩かない日は落ち着かない体質になってしまい、晴れた夜は満天の星を眺め、雨の日は、長靴と傘で歩いています。また、毎日を楽しく歩くため、ホ−ムセンタ−や 100円シヨップ、古本屋などで休憩できるル−トを16通り作り、体調や気分によりコ−スを組み合わせ、毎月250km、年間3,000km以上を目標に歩いています。 何度かの挫折と中断の危機を乗り越え平成24年10月10日に計画16年目
にして念願の「地球一周4万km完歩」を達成でき、「自分を褒めたい」気持ちです。達成当日は洋友会のパ−クゴルフクラブの大会で、皆さんからのサプライズ、「達成おめでとう横断幕」の前で花束を頂き記念写真撮影、皆様のサプライズ演出に感謝しています。  主治医の先生からは、血糖値、HbA1cの数値が良くなっていると言われており、今後も歩き続けたいと思っています。
先頭を歩く山内さん