私 と ボウリング
石田 亨・・・・
   平成8年5月、いつものようにボウリングセンターで投球練習
 を始めた。いつもと違うアドレス(構え)、タイミング良くボウルを
 投げることができない。異変に気付き、お隣のお客さんにレーン
 を譲り、いつもは妻の意見を聞くことのない私が何故か素直に
 病院へ直行した。診断の結果、即入院。
 病名は脳幹閉塞、55歳の時でした。 病院長の話では一命を
 取り留めても半身麻痺、言語障害、顔面の歪みなどの後遺症が
 残ると。しかし回復訓練の努力次第で全快する事もあるとの希望
 を持てるお話でした。気力を奮い立たせて一心に頑張りました。
 入院中、時間は十二分にある。病室のベッド上では、常に手足・
     インストラクター1級の石田さんと夫人
  指先まで大げさにリハビリ運動を自ら実践いたしました。  
  リハビリが進むにつれ文字を書く練習を始めました。、ミミズが這う様な文字から徐々に読める文字になり、思い出す
  名前や住所、生年月日など何度も何度も念じながら書き続けました。  
  治療士による機能回復訓練が終わった後も、病室で復習を続け、病院中の手摺りを握りしめながら歩き回りました。
  やがて階段の上り降りも出来るようになりました。先生からは「石田さんは本当に悪かったのですか」と冗談を言われるほ
  ど早い快復で周囲の皆さんをビックリさせるほどでした。
  自宅療養になり、家でもリハビリ器具に工夫・改良を加え、積極的にリハビリに取り組みました。考え付く色々なリハビ
  リを続けるうちに、以前通ったボウリング場にも行く気力が湧いてきました。
  ボウリング場のレーンの上でボウルを持てば投げられそうな予感が、実際に投球出来た時の感動、それからボウリン
  グが私のリハビリを助けてくれました。入院治療同様、自宅療法でも驚くほど順調に快復出来、周りの皆さんをビックリさ
  せました。
  趣味のボウリングのお陰で異常に気付き、早期発見出来た事、ボウリングとのきっかけを作ってくれた妻に改めて感
  謝です。病院長先生の励ましの言葉や治療して下さった皆さんにお礼申し上げます。
  ボウリングを始めた動機は、私の単身赴任が多かったために、気晴らしにと留守宅の妻が先に入門、妻のボウリング
  のイベントに付き合う中、折角来たのだからと ・ ・ ・お客さんのいない 片隅で二人で投げたのが始まりです。最初はボウ
  ルの持ち方も、投げるフォームも分からずガーター(溝掃除)の連続が私の始まりです。
  平成9年12月、ボウリング場の支配人が私の定年退職と前職(三洋電機サービス勤務)を知り、出勤日数や勤務時間
  を気にせず手伝って欲しいと乞われ、メカニック担当チーフで採用して頂きました。その後も会社の経営者が何度か変わ
  りましたが、私の待遇は変わることなく現在に至っております。
  そんな私が 、平成15年には日本プロボウリング・インストラクター2級資格を取得。同年クラシッククラブ入会テストに合
  格し入会することが出来ました。
  ● インストラクターはボウリング場もしくはボウラー団体の推薦と、かつ2日間の研修会(専門知識の習得)受講とその
  試験に合格して資格を得ることになります。
  ●クラシッククラブ入会テストはオールド(60才以上)男性は18G(ゲーム)を投球し、平均175点以上のAVE(アベレー
  ジ)が合格条件です。私は182AVEで合格することが出来ました。
  しかし維持してゆくことも又大変です。毎年、各
  ボウリング場で実施される公認大会を54G以上の
  消化と所属ボウリング場での公認ゲームを72G以
  上を消化し、かつ平均175点のAVEが資格維持
  条件です。
  昨年(平成21年)にはインストラクター1級資格
  に挑戦しました。1級は2級で3年以上の指導実務
  経験が必要条件。かつ専門知識講習会を受講し、
  レポート提出・実技試験を経るハードルの高い資
  格です。努力と執念で難関を突破して無事合格す
  ることが出来ました。
                                        インストラクター1級の投球フォーム
  ボウリングはメンタルなスポーツとも言われ、他のスポーツの要素も多く含んでいると思います。
  学生の頃より剣道・登山・マラソン・スキーなど色々やりましたが、ボウリングは孤独感が無く、勝ち負けも他人との勝ち
  負けでなく、自分自身で時間と共に変化するレーンをどの様に攻略するかの戦いにつきます。
  個人的な楽しさばかりでなく自分を再生し、改造することが出来、人と人とのコミニュケーションを促す事が出来るスポ
  ーツと思います。
  私の周りには、色々な障害で悩んでおられる方々や88才を過ぎた方々が居られ共にチームを組んで、ボウリングを
  楽しんでおります。
  最近は、老人施設や病院などでもリハビリ目的でボウリングを取り入れているほどです。
  退院後は、お蔭様で風邪も引かず、薬も飲むことなく、定期健診以外は病院に行くこともなく、毎日晩酌を楽しんでお
  ります。退職当時の私を知る同僚の皆さんには想像もつかなかった事と思います。
  洋友会北海道地区にも一昨年、ボウリングクラブが発足、奥様方も交えて月に一度のペースで定例ゲームを開催、
  仲間との親睦を深めあい、妻と共に参加するのが私の元気の源となっております。